2025年7月28日

「胃に“鳥肌”ができる」――そんなちょっと不思議な病名を聞いたことはありますか?
鳥肌胃炎とは、内視鏡で胃を観察したときに、まるで“鳥肌が立ったような小さなブツブツ”のように見える胃の炎症です。
鳥肌胃炎の正体
鳥肌胃炎は、ヘリコバクター・ピロリ菌(HP菌)感染と深く関係しています。
主に小児期にピロリ菌に初感染したときの免疫反応で、胃の前庭部という出口近くに小さな結節(約3mm前後の隆起)が均等に並びます。
内視鏡で観察すると、胃の粘膜がブツブツとした見た目になるため「鳥肌」という名前がついています。
なぜ注意が必要なの?
「ただの胃炎なら大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、
鳥肌胃炎は“未分化型胃がんのリスクが高い状態”といわれています。
特に、ピロリ菌感染が長期間続くと、胃の粘膜にダメージが蓄積され、将来的に胃がんの発生リスクが高まることがわかっています。
自覚症状はあるの?
鳥肌胃炎そのものでは自覚症状がほとんどありません。
しかし、ピロリ菌感染による胃炎が進むと、次のような症状が出ることがあります。
胃もたれや食後の不快感
慢性的な胃痛
食欲不振
吐き気
このような症状が続く場合は、放置せず早めの受診をおすすめします。
検査と治療
内視鏡検査(胃カメラ)で、胃の粘膜を直接観察して診断します。
必要に応じて、ピロリ菌検査(組織検査・尿検査・血液検査)を行います。
ピロリ菌が見つかった場合は、除菌治療を行うことで、将来の胃がんリスクを減らせます。
メッセージ
「鳥肌胃炎」は、未分化型胃癌のハイリスクです。除菌後も定期的に検査が必要です。
胃の不調が続く方、ピロリ菌が気になる方は、ぜひ一度胃カメラでチェックしてみましょう。
当院では、麻酔管理に長けた内視鏡専門医が検査を担当し、鎮静剤を使った“眠っている間に終わる胃カメラを行っています。お気軽にご相談ください。