2025年7月20日

鏡を見たときに「なんだか目が黄色い」「肌が黄色っぽくなってきた
そんな症状が現れたとき、それは体の中からの重要なサイン、**黄疸(おうだん)**かもしれません。
🔶 黄疸とは?
黄疸とは、血液中のビリルビンという色素が増えて、白目(強膜)や皮膚が黄色くなる状態を指します。
このビリルビンは、赤血球が壊れるときに生じる色素で、肝臓や胆管を通って体外へ排泄されます。
その流れがどこかで滞ると、体内にビリルビンが蓄積し、黄疸が起こります。
🔶 黄疸の原因はさまざまです
黄疸には「胆管が詰まるタイプ(閉塞性黄疸)」や「肝臓の炎症や障害によるもの(肝細胞性黄疸)」、「生まれつきの体質によるもの(体質性黄疸)」など、いくつかの原因があります。
🔶鑑別のポイント
黄疸の原因を判断する際、画像検査と血液検査を組み合わせて以下のように見極めます。
✅ 1. 胆管の拡張があるか?
→ 拡張あり:閉塞性黄疸
膵がん、胆管がん、胆石症などが疑われます
→ 拡張なし:血液検査で分類します
✅ 2. 血液検査で見るポイント
直接型ビリルビンが上昇している場合(胆汁の排泄障害)
検査所見と疑われる原因
☑AST・ALTが高い
→肝炎、肝硬変、肝がん、薬剤性肝障害など(肝細胞性黄疸)
☑ALP・γGTPが高い
→原発性胆汁性胆管炎(PBC)、薬剤性胆汁うっ滞
☑肝酵素が正常
→体質性黄疸(Dubin-Johnson症候群、Rotor症候群)
間接型ビリルビンが上昇している場合(ビリルビンの代謝異常)
溶血の有無と疑われる原因
☑溶血あり
→溶血性貧血など(溶血性黄疸)
☑溶血なし
→体質性黄疸(Crigler-Najjar症候群、Gilbert症候群)
🔶体質性黄疸ってなに?
体質性黄疸は、ビリルビンの代謝や排泄に関わる酵素の異常で起こる、比較的まれな遺伝性疾患です。
名称と特徴
☑Gilbert症候群
→最も多く(日本人の5%)、軽度の黄疸を繰り返すが基本的に無害
☑Crigler-Najjar症候群
→稀で重症。特にⅠ型は生後すぐに高ビリルビン血症を呈し、治療しなければ命に関わる
☑Dubin-Johnson症候群
→胆汁排泄障害により直接ビリルビンが上昇。腹腔鏡で肝臓が黒く見えることが特徴的
☑Rotor症候群
→肝内代謝異常により直接型ビリルビンが上昇。ICG排泄遅延で鑑別
🔶 当院での検査と対応
当院では、
血液検査(ビリルビン、肝酵素、溶血マーカーなど)
腹部エコーやCTによる画像診断
必要に応じて、MRIや内視鏡的胆道ドレナージ(ERCP)などの専門的検査・治療が必要な場合は、連携する医療機関へご紹介いたします。
🔶 こんな症状があればご相談ください
白目や皮膚が黄色い
茶色い尿や薄い便が出る
右上腹部の痛み・発熱がある
健診で「ビリルビン値が高い」と言われた
これらの症状は黄疸のサインかもしれません。放置せず、まずは医師にご相談ください。
🔶メッセージ
黄疸は「肝臓・胆のう・膵臓」など重要な臓器の異常サインです。
軽症例から重篤な疾患まで幅広く、画像検査と血液検査を組み合わせることで、原因の早期発見と適切な初期対応につなげることが可能です。
気になる変化があれば、当院へお気軽にご相談ください。