2025年11月10日

はじめに:検診で「便潜血陽性」と言われたあなたへ
「陽性」と聞くと、とても不安になりますよね。
まず大切なのは、陽性=大腸がん確定ではないということ。ただし、放置はNGです
便潜血は“どこかで少量の出血が起きたサイン”
痔や一時的な炎症でも出ますが、ポリープや大腸がんが隠れている可能性もあります。
このブログでは、「何を・いつ・どう動けばいいか」を患者様目線でわかりやすく示します。不安を減らし、迷わず次の一歩を踏み出せるように。
すぐ受診すべき“赤信号”
・鮮血が続く/黒い便が出る
・強い腹痛や発熱
・めまい・息切れ(貧血のサイン)
・短期間での体重減少
これらがある場合は、早めに医療機関へ。
便潜血検査(FIT)ってどんな検査?
何を見ている?
便に混じったヒトのヘモグロビンを調べるスクリーニング検査です。
食事制限は不要。
回数は?
多くの自治体では2回採便(2日法)。
2回のうち1回でも陽性なら精密検査になります。
限界はある?
あります。陰性でも見逃すことがあり、陽性でもがんとは限らない。
だからこそ、“陽性のときは精密検査”という流れが決まっています。
放置するとどうなる?“遅れの代償”
時間がたつほど、もしポリープやがんがあれば大きく・深くなりやすい。
早めに内視鏡で見つければ、小さいうちに切除できる可能性が高まり、体への負担も少なく済みます。
逆に、先延ばしにすると診断時に病気が進んでいる(治療が大がかりになる)リスクが上がります。
「痔だから大丈夫」は危険な思い込み
痔や生理、軽い腸炎でも便潜血は陽性になります。ただし、痔とポリープ/がんが同時にあることも。
「痔がある=他はない」とは言えません。自己判断で様子見せず、内視鏡できちんと中を確認することが、いちばんの安心につながります。
陽性と出たら何をすればいい?受診のステップ
消化器内科へ電話して、大腸内視鏡(精密検査)を予約
伝えること
「便潜血検査で陽性でした。精密検査(大腸内視鏡)の予約をお願いしたいです」
「検診の結果票があります」「服用中の薬があります(名称)」
持ち物を準備
検診結果票/保険証/お薬手帳(血液をさらさらにする薬や糖尿病薬は特に重要)
薬の扱いは自己判断しない
休薬が必要かは医師が判断します。勝手に中止しないでください。
怖い・恥ずかしい不安が強い人へ
当院では鎮静下(眠ったような状態)で受けられます。
大腸内視鏡って実際どうなの?体験に近い形で解説
前日〜当日
下剤で腸をきれいにします。ここが検査の精度を上げる要(かなめ)です。説明書どおりに実施ください。
検査中
肛門から細いスコープを入れて、大腸の中を直接観察。必要があればその場で小さなポリープを切除できます。
痛みは?
個人差はありますが、鎮静を使えば“寝ている間に終わった”という人も多いです。
時間は?
観察だけなら15〜30分程度が目安。
リスクは?
穿孔(せんこう)や出血などまれな偶発症はありますが、利益が上回ると判断されるからこそ勧められています。
終わったあと
鎮静を使った場合は当日の車の運転は不可。結果説明と今後の計画を確認して帰宅します。
検査費用はいくらかかる?保険でどこまでカバーされる?
保険適用で自己負担は一般に3割(高齢者等は別ルール)。
費用は検査だけか/生検やポリープ切除があるか/鎮静を使うかで数千円〜数万円程度と幅があります。
痛み、立ちくらみ、体重減少などあれば、前倒しを依頼。
予定が先でも、まず“半年は超えない”日程を確保しておくのがコツ。
よくある質問(FAQ)
Q. 1回だけ陽性でも、本当に内視鏡が必要?
A. 必要です。2回採便のうち1回でも陽性なら、精密検査(大腸内視鏡)が基本です。
Q. 昨年の内視鏡で異常なし。なのに今年また陽性。受けるべき?
A. 受けましょう。新しく出てきた変化かもしれません。“今”の出血サインはそのときに評価するのが安全です。
Q. 痔がある/生理中に採便してしまった。
A. ほかの出血でも陽性になりますが、がんを否定はできません。今回は内視鏡で確認し、次回からは生理を避ける・痔が落ち着いた時期に採便しましょう。
Q. 検査が怖い・痛いのが苦手。
A. 当院では鎮静剤を使用して検査を受けられます。できる限り不安に寄り添いますのでご安心ください。
Q. どれくらいのスピード感で動けばいい?
A. できれば数週間〜数か月以内に内視鏡へ。事情があっても半年は超えない計画に。
便潜血“陽性”はチャンス。命を守るサインです
陽性=確定ではない。でも、放置はリスク。
内視鏡で“中を見て確認”すれば、小さいうちに治療できる可能性が上がります。
まずは予約の一本の電話から。不安は、動くほど小さくなります。
終わったら、毎年の検診を続けて“見逃さない体制”を作りましょう。